卒業研究の1コマ(2)

脳神経の研究に大腸菌!?

当研究室の研究対象は脊椎動物の脳神経ですが、実は一番お世話になっている生物は「大腸菌」です。なぜ神経研究に大腸菌!?と思われると思いますが、それは、神経細胞の中で目的のタンパク質やシグナルを可視化するための遺伝子コード型のプローブを作成するのに大腸菌が必要不可欠だからです。遺伝子組換えの技術を用いて様々な機能を持つDNA配列をつなぎ合わせて、動物細胞の中でプローブやタンパク質を発現させるためのプラスミドベクターを作ります。また、昨年ノーベル化学賞を受賞したゲノム編集の技術をつかうためにも、新しいプラスミドベクターを構築します。このプラスミドベクターを大量に増やしてくれるのが、大腸菌です。20分に1回分裂する大腸菌は、一晩で何10回分(実験によっては数回分ですが)の実験につかうプラスミドを増やしてくれる大腸菌には、本当に感謝です。

遺伝子組換えの技術は、現在生物学研究の基本中の基本の技術で、製薬会社などに就職した場合は求められる技術であるかと思います。新型コロナウイルス検査やワクチン開発に使われているPCRや遺伝子導入の技術も、当研究室では、プロジェクト研究Bや卒業研究を通じて学んでいただくことができます。